1月20日、(有)三里塚物産に「らっきょう漬」の現地監査に行ってきました。
(有)三里塚物産はその名の通り成田市三里塚の近くに工場があります。工場は成田空港の工事予定区域内にあり、そこに存在することで現在も成田空港建設反対運動を続けています。工場のすぐ真上を頻繁に通るジェット機の轟音、1時間おきの警備員による巡回パトロールなど、そこだけ、この平和な日本の中で他には見えないものがみえるようでした。「らっきょう漬」が、いわゆる「三里塚闘争」という、日本の歴史の中から生まれた消費材でもあることを知りました。監査に立ち合ってくださった社長の平野さん、共同代表の立川さんは、30年以上に渡って地元の農家の方と一緒にこの圧力と戦い続けるという強い信念をお持ちにもかかわらず、とても穏やかな方でした。
三里塚の成田空港建設反対運動を知らない方は、ぜひ調べて、日本の近代史を学び、考えていきましょう。
「おおぜいの自主監査」では事前に学習会を行い、監査する消費材の作られ方を生活クラブの自主基準をもとに確認し、疑問点を話し合います。現地監査当日は製造現場を実際に見学し、生産者の方に疑問点への回答をいただくのですが、私は事前学習会で、らっきょう漬に対する生活クラブの自主基準が129項目もあることに驚きました。原材料、食品添加物、製造工程、容器包装の素材など、自主基準は細かく設けられているのです。『生活クラブの消費材は素性が明らかで、安心安全だ』といえるのは、こうした細かい自主基準を満たすべく、生産者の方の努力があってこそのものだと感じました。そして事前学習会の結果、今回私達はらっきょう漬の特徴である「低温乳酸発酵法」の現地確認、らっきょうの栽培方法や水質管理記録の確認など14の質問事項をあげて自主監査に臨みました。
1月20日の現地監査当日は、まず事務所にてらっきょうの栽培履歴を確認しました。誰がどこで栽培したものなのか、使用した農薬は何をどれだけ使ったのか、またその農薬は生活クラブが認めたものであるかということを書類で細かく確認することができ、素性がしっかりした原材料であることがわかりました。水質管理の記録、検品方法についても確認し、過去8年間異物混入が1件もなかったことなども確認しました。
そして「低温乳酸発酵法」とは、添加物を一切使わず酢、砂糖、食塩だけで乳酸発酵させてらっきょう漬を製造する方法で、もとは地元の漬物上手なお年寄りの知恵からきているそうです。実は私はらっきょう漬が苦手だったのですが、事前学習会で試食をしたところ、きつい酸味や塩辛さがなく まろやかで美味しかったので、市販品との違いに驚きました。低い塩度で乳酸発酵させることが美味しさの秘密であること、低い塩度でらっきょう漬を製造するのは保存管理が難しく大手メーカーではできないというお話を聞いて、美味しさの秘密がよく分かりました。
お話の後は施設の見学ですが、最初に冷蔵庫の下漬けされた らっきょうの状態を確認し、工場内へと移動しました。工場では塩抜きしたらっきょうの洗浄の様子を見せていただきましたが、機械洗浄後は少量をザルに取り、水に浮かせながら手作業で剥がれたらっきょうの皮を取り除いていて、寒い中 冷たい水を使っての作業は大変だと思いました。
その後 袋詰めの様子、合成洗剤を使わずせっけんを使っていること、防虫防鼠対策の様子、排水設備などを確認しました。工場内は整理整頓されて清潔で、作業をしている方々も清潔感のある方ばかりでした。
今回の自主監査を通して、私は消費材が生産者の方の様々な努力によって作られていることを改めて実感しました。
事後活動では、おおぜいの自主監査の報告をしていくことはもちろん、「らっきょう漬け」を試食したり、アピールする機会を増やし、たくさんの組合員に食べてもらえるようにしていきたいと思います。また、来年度は生産者交流会も開催し、他の組合員との出会いの場もぜひ作りたいと思います。そこで、より多くの組合員に消費材の背景を思い感謝しながら食べることの輪を広げていきたいと思います。
佐倉東支部 野坂