活動紹介

TPP参加で共済ができなくなる?!

 

連合会HPより転記)

生活クラブ活動情報

 

TPP参加で共済ができなくなる?!
 
 
 
 
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9月8日東京・浜松町で協同組合フォーラム主催の第2回シンポジウム「グローバル化の中の共済の社会的役割」を開催しました。今回のシンポジウムの目的はグローバル化とともに進められてきた共済規制の動きと、TPP(環太平洋連携協定)に参加した場合に懸念される問題を検証し、人々のたすけあいのしくみである共済の本来の役割を明らかにすることでした。シンポジウムには生協の組合員や職員、共済の関係者など86人が集まりました。(2012年11月27日掲載)
 
グローバル化の影響と共済が果たすべき役割
 
 協同組合フォーラムとは、協同組合が活躍する場を広げるための学習と議論を重ねる場として生活クラブ連合会、グリーンコープ連合会、消費者信用生活協同組合が呼びかけ団体となってつくった団体で、生協や協同組合に関する3回のシンポジウムを行なうことにしています。第1回は「生協の社会的役割と地域の未来」をテーマに5月に東京で開催しました。
 開会に当たって、生活クラブ連合会理事で生活クラブ共済連の伊藤由理子常務理事より主催者基調報告を行ない、改定生協法が共済に与えた影響や規制の動き、TPPに対する懸念などフォーラム主催団体の問題意識を報告しました。
 主な論点として以下を挙げました。
 
TPP問題が共済に与える影響の問題。
2007年に改定された生協法の共済規制の問題。具体的には保険法の「契約者保護」の原則を適用するなど、協同組合原則や生協の根幹にある「組合員主権の原則」と矛盾していること
2005年の保険業法改定で規制された根拠法を持たない共済(自主共済)の問題
共済の理念と法規制の問題。具体的には協同組合原則に基づく相互扶助事業や非営利・協同の市民金融機関として社会に根付いていくための改定生協法の見直し、統一的な「共済法」の検討
 
 
 
 

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 TPPによって懸念される共済への影響は、韓国の事例を参考に検討しました。韓国では協同組合基本法が昨年成立し、協同組合の振興に国を挙げて取り組んでいる一方で、政府主導による強引なグローバル化が進められています。今春にはTPPと類似の問題をはらんだ自由貿易協定(韓米FTA)をアメリカと結んでいます。こうした韓国の現状と共済への規制について、ハンギョレドゥレ共済協同組合連合会代表のパクスンオク氏が基調講演を行ないました。
 2011年12月に成立した韓国の協同組合基本法では、信用事業や共済事業が社会的協同組合の「少額貸出と相互扶助」として一部認められました。しかし、「韓国内で強い権限を持つ金融委員会は協同組合の『信用事業』や『共済事業』の意義や理念を認めず、基本法の成立後に締結された韓米FTAによって、韓国の共済は金融監督庁の管理下で保険と同等の規制を受けることになった」とパク氏は指摘し、「TPPによって日本の共済も保険と完全に同等の規制を受ける恐れがある」と警鐘を鳴らしました。
 そのうえで、韓国の韓米FTA撤廃・改定を求める運動や脱原発運動を紹介し、日本のTPP反対運動や脱原発運動、協同組合や共済運動との国際的な連携と日韓の相互連帯を呼びかけました。
 
生協、協同組合、自主共済など市民がたすけあう関係をつくる!
 

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 これを受けて、前東日本国際大学教授の松崎良氏よりTPPにおける共済の位置づけ、「次期生協法見直しに向けた共同提案」、統一的な共済法の可能性などについて講演がありました。
 松崎氏はTPPについて、アメリカ政府の年次改革要望書と連続した問題と指摘し、日本に利はなく断固反対すべきとしました。「共同提案」に対しては、特に事業分離された共済事業を兼業可能とすることやその他の共済制度の見直しなど提案内容を評価し、統一共済法への発展を期待するとしました。
 後半は自主共済の先進事例について反貧困たすけあいネットワーク代表の河添誠氏と、日本勤労者山岳連盟理事長の斉藤義孝氏より活動報告を行ないました。
 

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 河添氏からは非正規労働者などワーキングプアや半ば失業状態にある人たちを対象にした休業保障・生活保障の仕組みの報告があり、顔が見える関係やお互いたすけあう関係づくりが提議されました。
 斉藤氏からは保険業法改定で自主共済が規制され、今までの「労山遭難対策基金」を事後払いとしなければならなくなった経緯や保険業法の適用除外を求める「共済の今日と未来を考える懇話会」の活動が報告され、自主共済と生協共済など制度共済の連携呼びかけられました。
 その後はパク氏、松崎氏を交えたパネルディスカッション形式の質疑応答を行ない、TPP反対運動の参加の呼びかけや共済規制は憲法21条の「結社の自由」を侵しているなどの意見が出されました。TPPは参加してから変えることは困難なことから、日本が参加しないように政治家や市民に対して問題点を知らせていくことが必要であり、また3.11以降、お金だけでは生きていくことができないことがわかっており、共済によって人々がたすけあう関係を作り、保険との違いを明確にしていくことを共有しました。
 なお、このシンポジウムは2012国際協同組合年(IYC)実行委員会認定事業に認定されています。また第3回は来年2月に福岡で開催される予定です。