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放射能「独自基準やめて」 ─農水省通知 スーパーなどに

 

メディア紹介 

2012年04月21日:朝日新聞

 

放射能「独自基準やめて」 ─農水省通知 スーパーなどに

 

食品の放射性物質検査をめぐって、農林水産省は20日、スーパーや食品メーカー、外食産業などの業界団体(270団体)に対し、国が設けた放射性物質の基準を守るよう求める通知を出した。国よりも厳しい独自基準を設けて自主検査を実施し、「『不検出』の食品しか売りません」などとする動きに歯止めをかけるのが狙いという。

 

国は4月から、それまでの暫定基準を改め、新基準(一般食品の放射性セシウムは1キロあたり100ベクレル、牛乳と乳児用食品は50ベクレル、飲料水10ベクレル)を施行した。

通知は、この新基準が国際的な指標と比べても、さらに厳しい設定であることを強調。「過剰な規制と消費段階での混乱を避けるため、自主検査においても食品衛生法の基準値に基づいて判断するよう周知をお願いします」と記している。

さらに、「科学的に信頼できる分析結果」を得る方法を指定し、それに基づいて検査を実施できる機関に依頼するか、自分たちで検査するときにはその水準を確保するよう求めている。

同省の食品小売サービス課は「国の基準は十分に安全を見込んだ数値。異なる基準がばらばらにあると混乱する。『うちの方がより安全』と競い合うような状況もあり、独自基準に対して指導が必要と判断した」と説明している。

新基準施行後、農水省には生産者らから「不検出の農水産物以外は買えないと言われた」といった訴えが相次ぎ、国の基準を守らせるように求める声が上がっていた。一方で、消費者には、より厳しい基準で安心を得ようとする傾向があり、今回の通知には反発も予想される。(井上恵一朗)

 

国の通知 消費者困惑

 

放射能基準「過剰な要求」批判も

 

食品の放射能検査をめぐる農林水産省の通知。「食の安全・安心」に応えようとしてきた生協、小売業者からは、突然の通知に批判や戸感いの声が上がった。消費者にも波紋が広がっている。

取り扱うほぼ全品目の検査を実施し、国より厳しい自主基準を設けている「生活クラブ生協連合会」の槌田博・品質管理部長は「過剰な要求だ」と指摘する。

「自主基準を設けるのは、国の基準が信用されていないから。信頼回復が一番大事なのに、基準を押しつければ、ますます国は信頼されなくなる」

東京都内のある小売店は、数百万円で放射線測定器を買い、より厳しい海外の基準を下回る野菜だけを販売している。測定値を店頭に表示したうえで、福島産を積極的に売り場に並べてきた。男性店長は「農家のこと、消費者のことを思ってやってきた。いきなりやめろと言われても……」と困惑する。

消費者団体の「主婦連合会」の佐野真理子事務局長は「自主検査のレベルが事業者によって異なり、検査結果が様々に出ていることが消費者にとってわかりにくいのは事実」とする。

ただ、「過剰な規制と混乱の回避」を理由に国の基準値に基づいて判断するよう、国が通知することには違和感があるという。「通知が自主検査を萎縮させてしまうなら問題だ。民間業者が自主的な基準を設けて販売するのは商業上の付加価値でもあり、国が文句をつけるべきではない」と話す。

生活クラブ連合会ホームページ メディア紹介4月21日記事より)