食の未来

はじめにの最近の記事

はじめに

 
?.はじめに
本答申は2009年度方針案の共同購入事業の柱である、『1.09年度単協統一行動テーマ「共につくろう!食の未来」』の具体的な実効策であることを確認します。
私たちはいつの時代も「生産する消費者」として共同購入運動・事業を通して生産者と対等なパートナーとして協同し、本当に必要な「もうひとつの(オルタナティブな)生産―流通―消費―廃棄の社会システム」を実現してきました。その運動の基幹は私たちの生命をつなぐ、暮らしの原点である"食"の共同購入であり、国内自給力の向上推進です。

ここ数年、日本の食料自給率が40%と先進国の中で群を抜いて低い状況の中、世界規模の食をめぐる問題が次々とおきています。世界的な人口増加と地球環境の悪化、中国・インドなどBRIC'sの経済成長と食生活の変化、エネルギー情勢の変化などが要因となり穀物の争奪と食品価格のインフレ。遺伝子組み換え農産物の拡大と複数の耐性を持つスタック系種子の拡大。日豪FTA・WTO交渉の農産物自由化は深刻であり、食料を世界から調達できる時代は終わりをつげつつある状況です。また、中国製ギョーザ・ミルクへの毒物混入、輸入汚染米事件、食品偽装など食卓の安全を脅かす事件が続発し、食料輸入に依存する日本の食の安全・安心は大きく揺らいでいます。
一方、この間の情勢で明らかになったことは、日本は自国の食料は自国で生産する国内自給力・食料自給率の向上に向け本気で何とかしなくてはならない、ということです。生活クラブは40年間生産者と実践してきた実績をもとに、食料安全保障の観点から長期的な食料自給力向上のための政策提案をしてきました。その成果もあり、政府は自給率50%を目指し米の需要拡大と生産調整の見直し検討を打ち出しはじめました。

私たちは、より良いものをより安く手に入れることを目指しているのではなく、「安全・健康・環境」の生活クラブ原則のもと、素性の確かな消費材を、適正な価格で生産者が再生産可能な持続可能な生産原価保障方式により、共同購入しています。このことがもっとも大切な共同購入原則です。数ある消費材の中でも共同購入事業(運動と経営)を牽引する主要品目について徹底して材の質、生産のあり方、生産者との提携のあり方を追求しています。主要品目とは牛乳、米、鶏卵、豚肉、牛肉、鶏肉、青果物であり、国内生産に占める位置ならびに食生活において占める位置が重要なものです。そして自ら共に食べる仲間を作り利用結集しています。私たちはうわべだけの単なる安全・安心の追求が運動目的ではありません。「商品を買うという行為の背景にどのような社会構造があって、どのような政治的な意志というものがあるかを考え、そしていま何が必要なのかがわかる消費者」=「自覚的消費者」をおおぜいにしていくことです。

今回のプロジェクトでは、上記に述べた社会情勢と、生活クラブが実践していること、千葉単協活動の成果と課題、提携生産者との交流のあり方を認識し、生活クラブの強みを生かし協同組合として社会に対抗する生活クラブ千葉の柱となる政策、実効策を議論しました。また、運動を推進するには、組合員の教育の場を多く作り、学び合い理解を深め、社会に向けても教育の視点を持ち、おおぜいの仲間と共に問題解決にのぞむことが必要と認識しました。

現在アメリカ発の世界的な金融危機による経済不安が大きな問題になっています。工業品の輸出と引き替えに食料輸入大国となり途上国から奪った資源を享受している構造をかえるには、グローバリゼーションの進行から脱却し自立することです。自立していくには、消費者自身が生活の質を変えることです。まず、自分自身が社会構造の一員であり消費行動に責任を持つ必要のあることを認識し、その上で、消費者自身の暮らしを見直し、豊かさとは何かを考え生活の質を変えることです。生産・流通・消費・廃棄の全過程を自分たちの手の中に置く生活者として、自立にむけて私たち協同組合がなすべき最大のことは食の自治・自立をめざし生産者とともに国内自給力向上を推進することです。
私たちの消費材は自給力を追求し、消費材の利用結集は、同時に市場商品を買わないこと、食料を輸入に頼る市場経済の縮小につながります。そのことが、消費材を生産する力になり、一般社会に対して国内の生産基盤の構築を追求する発言力となります。運動をともに進める仲間をおおぜいにして消費材の利用結集力を高めていくことが必要です。この食の未来活動では組合員拡大を主たる活動として地域展開し、その成果であるおおぜいの仲間で協同組合として地域から社会にむけて発信し、地域で豊かさを、食の未来を追求していきます。

国内自給率アップに向け、おおぜいの自覚的消費者による利用結集活動を強化し、日本の第1次産業が元気になる食の未来を構築しましょう。

(2009年1月発行 食の未来プロジェクト答申より)